はじめに
こんにちは。薬剤師をしている私ですが、実は「薬草」についてはずっと初心者でした。
仕事をしていく中で、薬草や漢方薬を勉強する機会はあまりありませんでした。
そんな私が薬草に興味を持つようになったのは、自分の体調不良をきっかけに漢方薬を飲み、少しずつ調子が良くなってきたことが始まりでした。
「自然のチカラで体が整っていく感覚」に驚き、もっと深く知りたくなった私は、ふと身のまわりを見渡してみました。すると、庭や道ばた、草むらや山など、あちこちに生えている草たちが、急にいきいきと見えてきたのです。
これから、私達の身近にある草=薬草について、みなさんと一緒に学び、生活の中で楽しく活かしていけたらと思っています。
健康維持・病気予防・美肌・リラックスなど、薬草にはさまざまな働きが期待されています。
でも、「薬草って具体的に何?」「ハーブや漢方、薬とはどう違うの?」と、意外と知られていないことも多いものです。
この記事では、薬草初心者の薬剤師という立場から、薬草の基本をわかりやすく整理していきます。どうぞ気軽に読んでみてくださいね。
①そもそも薬草ってなに?
薬草とは、薬用に用いる植物の総称です。
体の健康維持や不調の改善に役立つ成分を持った植物を指し、人類は古くから自然の植物を活用して、心身のケアに取り入れてきました。
薬草のポイント
- 食べたり、飲んだり、体に塗ったりすることで、体に良い影響を与えるとされる植物が「薬草」と呼ばれます。
- 葉だけでなく、茎・根・花・種子など、植物のさまざまな部位が薬用として使われます。
- 身近な生活の中で使われるのが薬草の特徴です。たとえば、風邪のときにショウガ湯を飲む、ラベンダーの香りでリラックスする――こうした習慣も薬草の活用例のひとつです。
②薬草・ハーブ・漢方薬の関係って?

薬草・ハーブ・漢方薬。どれも「植物のチカラを活かすもの」ですが、呼び名や使い方には違いがあります。
ここでは、それぞれの言葉の意味と、共通点・違いについて整理してみましょう。
薬草
健康や体調の改善などを目的に、古くから使われてきた薬効のある植物全般を指します。
葉・花・茎・根・実など、植物のさまざまな部分が利用され、乾燥させてお茶にしたり、入浴剤や外用薬として使われたりします。
ハーブ(Herb)
「ハーブ」は薬草や香草を指す英語圏の呼び名です。
とくに西洋で、料理・香りづけ・薬用などに使われる植物を総称してハーブと呼びます。
葉や花などのやわらかい部分を使うことが多いのが特徴です。
ハーブは、薬草の一種といえます。
漢方薬
古代中国で生まれ、日本の気候や日本人の体質に合わせて独自に発展した東洋医学の治療体系です。
「生薬(しょうやく)」と呼ばれる植物・動物・鉱物由来の自然素材を複数組み合わせて使います。
使う生薬の種類や組み合わせには、理論や経験にもとづく体系的な考え方があります。
比較表でまとめると…
薬草 | ハーブ | 漢方薬 | |
主な用途 | 健康維持・不調のケア | 食用・香り・健康 | 東洋医学・治療 |
原料 | 植物全般 | 葉や花が中心 | 複数の生薬(薬草+他素材) |
使い方 | 単体またはブレンド | ティー・料理・アロマなど | 煎じ薬・錠剤などの医薬品 |
例 | ドクダミ、ヨモギ | カモミール、ローズマリー | 甘草、当帰、センキュウ |
違いと共通点のまとめ
- 「薬草」は一番大きな枠組みであり、ハーブや漢方薬の材料にもなります。
- 「ハーブ」は薬草の“西洋的な使い方”と考えるとわかりやすいです。
- 「漢方薬」は複数の薬草(生薬)を組み合わせた東洋医学の処方です。
- 同じ植物でも、文化や目的によって呼び名や使い方が変わることがあります。
たとえば「ヨモギ」は、民間療法ではお茶や入浴に、漢方では婦人薬の材料に、
ハーブとしてはアロマやスキンケアにも活用されます。
どれも、自然のチカラを暮らしに活かすという点では共通しています🌿
その背景や考え方の違いを知ることで、より安心して薬草を取り入れることができますね。
③薬(医薬品)と薬草の違いは?

それでは、薬と薬草の違いはどうでしょうか?それぞれについて整理していきましょう。
薬草
自然の植物を、ほぼそのままの形で利用します。
たとえば、ドクダミを乾燥させてお茶にする、ヨモギを煎じて入浴剤として使うなどがあります。
薬(医薬品)
植物や鉱物、動物などから取り出した有効成分、または化学的に合成された成分を使って、工場で厳密に製造されます。
成分の量や品質は管理されており、効果や安全性が確立されています。
比較表でまとめると・・・
薬草 | 薬(医薬品) | |
原料 | 自然の植物(葉・根など) | 植物・鉱物・動物などから抽出、または合成された成分 |
つくり方 | 乾燥・煎じるなどの簡単な加工 | 工場で厳密に製造・管理 |
成分 | 成分量は一定でなく、複数が混在 | 成分が規格化されており、一定 |
安全性 | 基本的に民間療法。科学的根拠や基準は少ない | 厚生労働省の審査・承認が必要 |
効果の特徴 | 穏やかで体質による差が大きい | 効果が明確で即効性が期待できる |
用途 | 健康維持やセルフケア | 病気の治療・予防 |
わかりやすいポイントは?
薬草は、「自然の力」を活かしたセルフケアの手段
使い方や効果に明確な基準はなく、体質によって合う・合わないがあります。だからこそ、正しい知識を持って取り入れることが大切です。
薬(医薬品)は、「病気の治療」に使うことを前提に開発されたもの
効果や安全性が科学的に証明されており、使用方法も明確に決まっています。病気のときには、医師や薬剤師の指導のもとで使うのが基本です。
注意してほしいこと
薬草と薬(医薬品)は、目的や使い方が大きく異なります。
どちらも「体を整える」という点では共通していますが、薬草は日常的なセルフケア向き、薬は医療の現場で用いるものです。
薬草もうまく使えば普段の健康サポートになりますが、症状が重いときは医師の診察や薬の利用が大切です。
④薬草を使う時に注意すること
薬草は身近でやさしい健康サポーターですが、安全に使うためにはいくつかのポイントがあります。
とくに初心者の方が気をつけたい点をまとめました。
1.「自然のもの=安全」とは限らない
薬草は自然由来のものですが、「たくさん使っても大丈夫」というわけではありません。中には強い作用や毒性を持つものもあります。体質に合わない場合、かえって体調を崩すこともあります。
- 推奨されている量や使い方を守ることが大切です。
- 初めて使う薬草は、少量から試して体調の変化に注意しましょう。
2.持病のある方・薬を服用している方は要注意
高血圧などの持病がある方や、妊娠中・授乳中の方などは、薬草の使用に注意が必要です。また、薬と薬草の飲み合わせによっては、薬の効果に影響が出ることもあります。
心配なときは、医師や薬剤師に相談しましょう。
3.子どもや高齢者への使用には慎重に
子どもや高齢者は体の感受性が高く、少ない量でも作用が強く出る場合があります。
- 使用量を少なめにする
- 不安がある場合は、専門家に相談する
といった配慮が必要です。
4.自然から採取する場合は注意して
自分で薬草を採るときは、よく似た毒草と間違えないようにしましょう。
- 図鑑や信頼できる資料で確認する
- 不安な場合は、薬草に詳しい人に同行してもらう
など、慎重に行動してください。
5.異変を感じたらすぐに中止・相談を
発疹・吐き気・頭痛・腹痛などの体調不良があれば、すぐに使用をやめてください。
症状が続く・重い場合は、医療機関を受診しましょう。
まとめ
薬草は自然の恵みですが、「自然だから安心」と思い込まず、正しい知識と使い方を心がけましょう。
不安なときは、医師・薬剤師・専門家に相談するのが安心です。
おわりに
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
私は薬剤師ですが、薬草についてはまだ学び始めたばかりです。だからこそ、初心者の目線を大切にしながら、わかりやすく安心して読める情報を届けたいと思っています。🌿
これからの記事では、私たちの身のまわりで出会える薬草について、ひとつひとつご紹介していく予定です。
いっしょに、薬草のある暮らしを楽しんでいきましょう。どうぞよろしくお願いします。
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