薬草は、自然の力を活かした健康維持やセルフケアとして、昔から私たちの暮らしの中で用いられてきました。
「薬草を取り入れて、もう少し自然に寄り添った生活をしてみたい」
そんなふうに思ったことはありませんか?
でも実際には、
「どんな薬草があるの?」
「どうやって使えばいいの?」
「そもそも、この草は薬草なの?」
と、分からないことばかりでハードルが高く感じてしまいますよね。
この記事では、薬剤師であり薬草初心者でもある私が、身近な薬草「ドクダミ」について、調べたことをやさしくまとめました。
ドクダミは、日本三大民間薬のひとつとして知られ、外用・内服の両方で活用されてきた歴史ある薬草です。ドクダミの効能や特徴、初心者でも取り入れやすい使い方を知ることで、
「これならできそう」と感じてもらえるはずです。

無理のないところから、薬草のある暮らしを始めてみませんか?
まず知っておきたい!ドクダミの主な効能と魅力
ドクダミの生薬名は「十薬(じゅうやく)」。
「10種類の薬効を持つ」といわれたことから、この名前がついたとされています。
日本三大民間薬のひとつで、「薬草といえばドクダミ」と言われるほど、昔から生活に根づいた身近な薬草です。

では、ドクダミにはどのような身体に役立つ働きがあるのか見ていきましょう。
| 使用部位 | 用途 | 効能 |
| 生の葉 | 外用 | 腫れ物、おでき、にきび、湿疹、かぶれなどの皮膚疾患 蓄膿症、痔、水虫 |
| 乾燥した地上部 | 内服 外用 | 利尿、消炎、便秘、デトックス、毛細血管強化、動脈硬化予防、高血圧予防、抗菌作用 |
生の葉は外用として、乾燥した地上部は内服・外用の両方に使われてきました。
それぞれの働きを、もう少し詳しく説明しますね。
「生の葉」に期待できる効能

生のドクダミには独特の香りがありますが、この臭いのもとになっている成分(デカノイルアセトアルデヒド)が、外用としての働きのポイントです。
この成分には強い抗菌作用があり、傷の化膿止めや、湿疹・にきび・かぶれ・水虫などの皮膚トラブルに利用されてきました。
生の葉をそのまま患部に当てたり、しぼり汁を塗るといった使い方が有名です。
ドクダミを乾燥させることでデカノイルアセトアルデヒドは失われ、独特の香りも消えます。
「乾燥した地上部」に期待できる効能

花が咲く時期の地上部を乾燥させたものが、生薬の「十薬(じゅうやく)」です。
香りは生の葉よりずっとやさしくなり、健康茶として飲まれてきました。
含まれるフラボノイド類(クエルシトリン、イソクエルシトリンなど)の働きによって、以下のような幅広い働きが期待できます。
- 利尿
- 抗炎症
- 緩やかな便通改善
- デトックス
- 毛細血管を丈夫にする
- 高血圧や動脈硬化の予防
- 抗菌作用
ドクダミの魅力を一言でまとめると
生の葉は「外側のケア」、乾燥させた地上部は「内側のケア」。
このように1つの植物で外と内の両方から体を支えてくれるのが、ドクダミの大きな魅力です。
初心者におすすめ!ドクダミの使い方
ドクダミを生で使う場合以外は、乾燥させておくと保存に適しています。また、いつでも使うことができて便利です。
ドクダミは花が咲いている時期の薬効が強いため、花が咲く時期(6〜7月)の地上部を採取するのがおすすめです。

ドクダミには、生活に活かし体調を整えることができる様々な活用方法が
あります。
その中で、初心者におすすめの方法を紹介しますね。
- ドクダミ茶として飲用する
- ドクダミで薬湯を作る
- 皮膚疾患にドクダミを外用する
- ドクダミ化粧水を作る
すべてを試す必要はありません。
紹介しているものの中から、「これならできそう」と思ったものをひとつ、選んでみてくださいね。

市販されているドクダミ茶やドクダミ入浴剤・ドクダミエキス・ドクダミ化粧水などがあるので、手軽に生活に取り入れてみたい方は購入するのも
おすすめです。
ドクダミ茶として飲用する

初心者に一番手軽でおすすめの方法です。
ドクダミ茶は、お茶代わりに飲用することで普段の生活に取り入れやすいのが
魅力です。
お茶として飲むことにより、ドクダミに含まれる成分を効率よく摂取できます。
◆用意するもの◆
刻んで乾燥したドクダミ 1日量:10〜15g
水 600〜1000mL
フライパン
鍋(ステンレスやほうろう、耐熱ガラス、土鍋など)
※薬草中の成分が鉄と反応して変化するため、鉄製の鍋は避けてください
茶こし
◆作り方◆
1.乾燥したドクダミをフライパンで混ぜながら炒る。手で触ってパリッとしたらOK。
※炒ることで味が良くなり、成分を抽出しやすくなります。
また、衛生的で保存性も増します。
2.鍋に600〜1000mLの水を入れて沸騰させる。
3.乾燥してから炒ったドクダミ10〜15gを加えて、10分ほど中火で煮出す。
しっかり色が出れば完成。
2/3から1/2の量になるまで煮詰めたものを「煎じ薬」と言います。
薬として飲みたい場合には、この「煎じ薬」とする方法もありますが、日常の生活に取り入れるのであれば、お茶として飲むだけでも十分です。
4.茶こしを用いて別の容器にこし取り、1日3回に分けて飲む。

【期待される効果】
利尿、消炎、便秘、デトックス、毛細血管強化、動脈硬化予防、高血圧予防、
抗菌作用
ドクダミで薬湯を作る

香りや肌が合えば、薬湯を作って入浴するのも活用しやすい方法です。
◆用意するもの◆
ドクダミ(新鮮な生葉100〜150g、または刻んで乾燥させたもの20〜30gくらい)
お茶パック
鍋(ステンレスやほうろう、耐熱ガラス、土鍋など)
※薬草中の成分が鉄と反応して変化するため、鉄製の鍋は避けてください
◆作り方◆
1.新鮮なドクダミをよく洗って汚れを落とし、刻んでお茶パックに入れる。
または、刻んで乾燥させたドクダミをお茶パックに入れる。
2.鍋に湯(2Lくらい)を沸かし、お茶パックに入れたドクダミを加えて中火で15分ほど
色が出るまで煮出す。
3.煮出した液のあら熱を取る。
4.お茶パックごと浴槽に入れて入浴する。

【期待される効果】
あせもやにきび、肌荒れ、水虫、血行促進など
⚠️注意
お風呂の追い焚きや保温をしないでください。給湯機器や風呂がまの故障の原因になったり、細菌や微生物が繁殖するおそれがあります。
皮膚疾患にドクダミを外用する

皮膚のトラブル時に、試してみると良い方法です。
◆用意するもの◆
ドクダミ(生の葉) 適量
すり鉢・すりこぎ
ガーゼ
ガーゼを固定するテープ(医療用の不織布テープなど)
◆作り方◆
1.摘んで水洗いした葉をもんで汁を出す、またはすりつぶす。
2.1を患部に当て、ガーゼで押さえ、医療用の不織布テープなどで固定する。
別法:生の葉を火であぶり、もんで患部に貼る。
※症状が続くうちは、1日2〜3回交換すると良いです。
【期待される効果】
湿疹、にきび、とびひ、かぶれ、化膿などの皮膚疾患
ドクダミ化粧水を作る

添加物の入っていない、肌にやさしい化粧水が作れます。
慣れてきたら挑戦してみてくださいね。
🌿レシピ①
◆用意するもの◆
ドクダミの花(白い花弁のように見える部分も含む) 50g
日本酒 720mL
※無農薬や有機栽培などの米で作った日本酒が、肌に優しくおすすめです
※日本酒は焼酎に代えることもできます
グリセリン 30mL
※グリセリンは薬局にて購入できます
◆作り方◆
1.ドクダミのつぼみか咲きたての花をつみ、よく洗う。
2.広口の瓶に入れて日本酒をそそぐ。
3.冷暗所で1か月ほど置いてから、グリセリンと好みで少量のはちみつを加える。
※冷蔵庫で保存してください
🌿レシピ②
◆用意するもの◆
ドクダミの煎じ薬(ドクダミ茶の作り方にて解説) 50mL
精製水 100mL
グリセリン 小さじ1/2
◆作り方◆
1.ドクダミの煎じ薬に精製水を加える。
2.グリセリンを加えて全体をよく混ぜる。
※冷蔵庫で約1週間保存できます。
【期待される効果】
抗炎症作用(毛穴抑制)、皮脂抑制、抗アレルギー作用、アンチエイジング効果など
⚠️注意
少量でパッチテストをしてから使い始めると安心です。肌に合わない場合は、すぐに使用を中止しましょう。
「ドクダミ」ってどんな薬草?
ドクダミは、私たちの身近に自生するとても生命力の強い薬草です。
ドクダミがどんな植物なのか、見ていきましょう。


ドクダミの名前の由来
独特の臭いが「毒をためる」ので「ドクダメ」→「ドクダミ」説、また薬効が「毒をとめる」ので「ドクドメ」→「ドクダミ」説などがあります。
ドクダミの生薬名:「十薬(じゅうやく)」
花が咲く時期に、根を含めた全草を掘り取って陰干ししたものを「十薬(じゅうやく)」と呼びます。十薬という呼び名は、10種類の薬効があることからつけられました。
ドクダミは、2000年以上前から民間薬として使われてきた歴史の古い薬草です。
ドクダミの特徴
利用部位:茎、葉、花
花期:6〜7月(花の咲く時期は薬効が強いとされています)
分布:本州、四国、九州、沖縄
生育場所:野原、道端
ドクダミの原産地は東アジアで、日本から東南アジアにかけて広く分布しています。
庭先や道端でもよく見られる身近な草で、湿り気の多い半日陰によく生える多年草です。
- 白い花弁のように見えるのは、苞(ほう)という葉が変形したもの。その上の花穂に黄色い雄しべと雌しべだけの小花をつける。
- 葉は柔らかく、やや青みを帯びた暗緑色で、先のとがったハート型。互い違いにまばらにつく。
- 草丈15〜30cmで地下茎は長くはって群生し、茎は直立して枝分かれする。
- 独特の臭いがある。
素手で触ると臭いがなかなか落ちないので、気になる方は手袋をして採取すると良いです。
ドクダミには、園芸種として八重咲きや斑入りのものもあります。日本では雑草に近い扱いのドクダミですが、外国では花壇や庭園を彩る園芸植物としても活躍しています。
葉をてんぷらとして食べることもできますよ。
ドクダミや他の薬草を使うときの注意点

ドクダミをはじめとした薬草は、正しく使えば日々のセルフケアに役立つ
心強い存在です。
ただし、安心して取り入れるために、いくつか知っておいてほしいポイントが
あります。
・薬草から得られる作用には個人差があるため、使用量は目安としてください。初めて使う場合は少量から始めると良いです。一度に多量の薬草を使うことは避けましょう。
・薬草は、日常的な健康維持やセルフケアに活用しましょう。はっきりとした病気の症状がある場合は、医師の診察を受けてください。
・薬との飲み合わせや体質・持病などにより、思いがけない症状が現れることがあります。体調の変化を感じたら、薬草の摂取をやめて医療機関を受診しましょう。
薬草についての基本的な考え方は、こちらの記事でまとめています。https://wtblog1.com/yakusouttenani/
ドクダミについてまとめ
ドクダミは、生の葉と乾燥した地上部とで期待できる働きが異なります。
生の葉には抗菌作用があり、さまざまな皮膚トラブルに用いられてきました。
また、乾燥した地上部には身体の内側を整える働きがあるとされています。(利尿、消炎、便秘、デトックス、毛細血管強化、動脈硬化予防、高血圧予防、抗菌作用)
日本三大民間薬のひとつとして有名で、昔から親しまれてきた薬草です。
初心者の方でも、次のような方法で無理なく生活に取り入れることができます。
・ドクダミ茶として飲用する
・ドクダミを入浴剤として利用
・皮膚疾患にドクダミを外用する
・ドクダミ化粧水を作る

すべてを試す必要はありません。
「これならできそう」と思ったものから、少しずつ取り入れてみてくださいね。
ドクダミを上手に活用して、薬草のある暮らしを楽しんでみませんか?
参考にした資料・文献
■ 書籍
・『散歩で見つける薬草図鑑』(監修 指田 豊/家の光協会)
・『身近な薬草活用手帖 100種類の見分け方・採取法・利用法』(監修 寺林 進/誠文堂新光社)
・『自然治癒力をひきだす「野草と野菜」のクスリ箱』(東城 百合子 著/三笠書房)
■ 大学・学会・公的機関
・公益社団法人日本薬学会 薬用植物一覧 ドクダミ
https://www.pharm.or.jp/herb/lfx-index-YM-200307.htm
・熊本大学薬学部 薬用植物園 植物データベース ドクダミ
https://www.pharm.kumamoto-u.ac.jp/yakusodb/detail/003405.php
・東京理科大学 薬学部 薬用植物園 ドクダミ
https://www.ps.noda.tus.ac.jp/wp-content/uploads/%E3%83%89%E3%82%AF%E3%83%80%E3%83%9F.pdf
・神戸薬科大学 薬用植物園 レター(2021年5月発行)
https://www.kobepharma-u.ac.jp/botanical-gardens/news/docs/2021-5-letter.pdf
・公益社団法人 東京生薬協会 新常用和漢薬集 ジュウヤク
https://www.tokyo-shoyaku.com/wakan.php?id=116
・長野県衛生部 薬務課「知っておきたい薬草の知識」https://www.pref.nagano.lg.jp/yakuji/kenko/iryo/shoyaku/shikenchi/documents/1405_2.pdf
■ 民間利用・暮らしの情報
・日本メディカルハーブ協会 メディカルハーブ辞典 ドクダミhttps://www.medicalherb.or.jp/archives/3397
・三省製薬「肌に良いとされるドクダミの効能」
https://www.sansho-pharma.com/lab/40
・化粧品成分オンライン ドクダミエキス
https://cosmetic-ingredients.org/skin-conditioning-miscellaneous/9664/
・ノーリツ/東京ガス 季節のお風呂(どくだみ湯)
https://ofuro-time.noritz.co.jp/kyofuro/column/dokudami/index.html
https://faq.noritz.co.jp/%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E5%85%A5%E6%B5%B4%E5%89%A4%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E-64ba52e40a00fb001b38e172
https://uchi.tokyo-gas.co.jp/topics/986
・中屋彦十郎薬局 薬湯の紹介
https://www.kanpoyaku-nakaya.com/yakutou.html
■ 研究論文
・ドクダミ(Houttuynia cordata)の成分に関する研究論文https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi1947/73/2/73_2_196/_article/-char/ja/
・ドクダミの殺菌・抗菌効果に関する研究論文
https://fukuoka-pu.repo.nii.ac.jp/records/566
・ドクダミ科植物に関する研究論文
https://tokushima-u.repo.nii.ac.jp/record/2003178/files/k2968_fulltext.pdf
・ドクダミ成分の抽出と抗カビ効果に関する研究
https://tetsu-sience.lolitapunk.jp/rika/pdf7/214.pdf
・高知県立牧野植物園研究報告
https://www.makino.or.jp/img_data/PAGE_science-report_18.pdf?0

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