ゲンノショウコの効能と使い方|初心者にもわかる整腸作用などの活用方法

対になって咲いているゲンノショウコの白い花 日本三大民間薬

日々の生活の中で、「なんとなくおなかの調子が良くない」と感じることもありますね。
そんな時、できれば薬に頼りすぎずに体調を整えたいと考える方もいると思います。

おなかの調子がすぐれない時に、昔から家庭で使われてきた薬草のひとつが「ゲンノショウコ」です。
日本三大民間薬のひとつとして知られ、下痢止めとして親しまれてきましたが、実は使い方によっては便秘にも役立つ、少し不思議な特徴を持っています。

私自身、薬草について学び始めたばかりの薬剤師です。だからこそ、初めての方にもわかりやすくお伝えできるよう、ゲンノショウコの主な作用や使い方をまとめました。
この記事では、煎じ薬や薬湯の作り方など、暮らしに取り入れやすい方法を紹介しています。
「これならできそう」と感じていただけたら嬉しいです。

薬草のある暮らしの第一歩として、ぜひ参考にしてみてくださいね。

まず知っておきたい|ゲンノショウコの主な使い方と効能

ゲンノショウコの白い花

ゲンノショウコは、下痢止めの妙薬として知られている薬草です。
飲むとすぐに下痢が治まるため、効き目の証拠がすぐに現れるということから「現の証拠(げんのしょうこ)」という名前がつきました。
ドクダミ・センブリとともに日本三大民間薬のひとつであり、生活に根ざした薬草として古くから重宝されています。

まずは、ゲンノショウコの使い方や作用についてまとめてみましょう。

使い方作用
煎じ薬整腸作用(下痢)
抗炎症作用
抗酸化作用
降圧作用(高血圧予防)など
薄い煎じ薬整腸作用(便秘)
薬湯抗炎症作用
血行促進作用 など

「煎じ薬」とは、水に薬草を加えて2/3から1/2の量になるまで煮詰めたものです。「薄い煎じ薬」は、煎じる時間を短くしたものとなります。

ゲンノショウコの主成分はタンニン(ゲラニインなど)であり、フラボノイド(ケルセチンなど)も含んでいます。これらの成分の働きにより、ゲンノショウコは整腸作用(下痢・便秘)抗炎症作用抗酸化作用降圧作用(高血圧予防)などを持ちます。
整腸作用には薬に含まれるタンニンの量が関係しており、下痢にも便秘にも効果が期待できることがゲンノショウコの特徴です。

煎じ薬の効能

ゲンノショウコの主成分であるタンニン(ゲラニインなど)には、腸内の炎症を抑えて下痢を止める働きがあります。
時間をかけてじっくり煮詰める(煎じる)ことでタンニンを多く抽出するのがポイントです。
整腸作用(下痢止め)だけでなく、抗炎症作用抗酸化作用降圧作用などもあるとされ、内用と外用の両方に使うことができます。

煎じ薬の用途と期待できる効能を整理してみましょう。

用途効能
内用下痢止め、高血圧の予防など
外用口内炎・歯痛・扁桃炎などの口腔内の炎症
かぶれ・あせも・湿疹などの皮膚トラブル

薄い煎じ薬の効能

「煎じ薬の効能」でお話したように、ゲンノショウコの煎じ薬は下痢止めとなりますが、煎じ方を変えることで便秘にも使うことができます。これが、ゲンノショウコの働きの不思議な点です。

煎じる時間を短くして薄い煎じ薬にすると、タンニンの抽出量が抑えられます。
ゲンノショウコから得られる少量のタンニンは緩下薬として働くため、飲むことで便秘の解消につながるのです。

薬湯の効能

抗炎症作用血行促進作用を利用して、薬湯としても使われています。
薬湯の効能には、以下のようなものがあります。

  • 冷え性
  • 生理不順などの婦人病
  • あせも、しもやけ、にきび、かぶれ、湿疹などの皮膚トラブル

ゲンノショウコの使い方と効能についてまとめ

ゲンノショウコの使い方と効能について、これまでの内容を整理してみましょう。

  • ゲンノショウコは、煎じ方を変えることで下痢にも便秘にも使うことができます。じっくり煎じると下痢に、煎じる時間を短くすると便秘に効くとされています。
  • 抗炎症作用抗酸化作用降圧作用血行促進作用もあります。
  • 外用することにより口腔内の炎症や皮膚トラブルに用いられ、また薬湯にすることで冷え性や婦人病などに効果が期待できます。

煎じる時間が長いと、タンニンが多く抽出されます。含まれるタンニンが多いと下痢に、少ないと便秘に使うことができるのですね。

初心者にもおすすめ|ゲンノショウコの使い方

ゲンノショウコは7〜9月に花の盛りを迎え、この時期に下痢どめ効果のあるタンニンを豊富に含みます。昔から「夏の土用の丑の日あたりに採取するのがよい」と言われてきました。
花がついたまま地上部を採取し、よく洗ったものを陰干しにして刻んだもの生薬のゲンノショウコです。
開花期または開花直前のものを使います。ゲンノショウコと葉の形が似ている毒草があるので、区別するために花が咲いてから採取するようにしましょう。

手軽に使ってみたい方は、市販品を購入するのがおすすめです。

ゲンノショウコで煎じ薬を作る

水に薬草を加えて2/3から1/2の量になるまで煮詰めることを「煎じる」といい、煎じたものを「煎じ薬」と呼びます。

まずは、ゲンノショウコで煎じ薬を作ってみましょう。
下痢や便秘のときに頼りになりますよ。
飲むだけでなく、うがい薬や外用薬としても使うことができるのが特徴です。

◆用意するもの◆
刻んで乾燥したゲンノショウコ 1日量10〜20g
水 400〜600mL(便秘に使うときは、200〜300mL)
フライパン
鍋(ステンレスやほうろう、耐熱ガラス、土鍋など)
 ※薬草中の成分が鉄と反応して変化するため、鉄製の鍋は避けてください
茶こし

◆作り方◆
1.刻んで乾燥したゲンノショウコをフライパンで混ぜながら炒る。
  手で触ってパリッとしたらOK。
  ※炒ることで味が良くなり、成分を抽出しやすくなります。
   また、衛生的で保存性も増します。  
2.鍋に400〜600mLの水を入れて沸騰させる。
  【便秘に使うときは、200〜300mLの水を入れる】
3.乾燥してから炒ったゲンノショウコ10〜20gを加えて、水の量が半分になるまで
  中火で煎じる。
  【便秘に使うときは、10〜15分くらい弱火で煎じる】
4.茶こしを使って別の容器にこし取る。

ゲンノショウコの煎じ薬の作り方

求める効能により煎じ薬の使い方が異なります。
以下の表にまとめました。

効能使用する煎じ薬の種類使い方
下痢、高血圧の予防など煎じ薬煎じ薬を1日数回に分けて飲む
口の中の炎症(口内炎・歯痛・扁桃炎)煎じ薬冷ました煎じ薬でうがいする
皮膚トラブル(かぶれ・あせも・湿疹など)煎じ薬煎じ薬を布などに含ませて湿布する
便秘薄い煎じ薬薄い煎じ薬を1日数回に分けて飲む

ゲンノショウコで薬湯を作る

薬湯を作るのも活用しやすい方法です。
ゲンノショウコには身体を温める働きがあるとされています。皮膚のトラブルにも効果的です。

◆用意するもの◆
刻んで乾燥したゲンノショウコ 100gくらい
木綿の袋
たらい

◆作り方◆
1.刻んで乾燥したゲンノショウコ100gくらいを木綿の袋に入れる。
2.1をたらいに入れてお湯をかけ、10〜20分くらい蒸らす。
3.蒸らした汁をゲンノショウコの入った木綿の袋と一緒に湯船に入れて、入浴する。

ゲンノショウコの薬湯の作り方

【期待される効果】
冷え性、生理不順、皮膚トラブル(肌荒れ・かぶれなど)

⚠️注意
お風呂の追い焚きや保温をしないでください。給湯機器や風呂がまの故障の原因になったり、細菌や
微生物が繁殖するおそれがあります。

「ゲンノショウコ」ってどんな薬草?

ゲンノショウコは、私たちの身近な場所に生えている薬草です。日本三大民間薬のひとつであり、昔からよく効く下痢止めとして使われてきました。
ゲンノショウコがどんな薬草なのか、見ていきましょう。

ゲンノショウコの白い花と、手のひらの形をした緑の葉
ゲンノショウコのピンク色の花と緑色の茎と葉

ゲンノショウコの名前の由来

下痢止めの薬として大変よく効くことから、「現の証拠(ゲンノショウコ)」と呼ばれるようになりました。「現の証拠」とは、効き目がすぐに証拠となって現れるという意味です。

他には、「医者いらず」や「てきめん草」など地方によって多くの別名があります。
ゲンノショウコが、よく効く薬草として重宝されてきたことがよくわかる名前ですね。

ゲンノショウコの生薬名:「現証拠(げんのしょうこ)」

生薬名は、植物名と同じ「現証拠(げんのしょうこ)」です。
花が咲く7〜9月の時期に採取します。花がついたままの地上部を陰干しにして刻んだものが生薬となります。
漢方の処方には用いられておらず、日本で独自に発達し、民間で伝承されてきました。

ゲンノショウコの特徴

利用部位:地上部
花期:7〜10月
分布:北海道、本州、四国、九州
生育場所:山地、野原

日当たりのよい野山や道端、草原などに、ごく普通に見られる多年草です。
夏から秋にかけて、梅に似たかわいらしい花を咲かせます。花の最盛期は夏の土用の丑の時期で、この頃に薬効がもっとも強くなります

ゲンノショウコの特徴

若いうちは地面をはって成長し、夏に花が咲く頃に立ちあがってくる。
草丈は40〜60cmくらいで、全草に細い毛がある。

茎:細長く、地面を這うように伸びる。

葉:手のひらのような形で、幅は2〜8cmくらい。
  3〜5つに深く分かれており、それぞれの葉は先がまるい卵のような形。
  葉の先の方のふちには、ゆるやかなギザギザ(鋸歯)がある。
  2枚ずつ向かい合うように生え、葉と茎をつなぐ長い柄がある。

花:1〜1.5cmほどの小さな花が花柄の先に2〜3個つく。
  花は白、紅、薄紅の3色で、花弁は5枚。
  東日本では白から薄紅、西日本では薄紅から紅色のものが多い。
  果実は長いくちばし状となり、熟すと下部から5つに開いて、丸い種子をはじき飛ばす。

花が終わると、長いくちばし状の部分が裂けて外側に巻き上がり、種子を飛ばします。
その形がお神輿の屋根に似ていることから、「ミコシグサ」とも呼ばれます。

お神輿の屋根に似ているゲンノショウコの果実

⚠️注意
毒草である「トリカブト」や「イチリンソウ」、「キツネノボタン」、「キンポウゲ」と葉が似ています。
区別するために、ゲンノショウコの花が咲いているものを採取しましょう。

ゲンノショウコや他の薬草を使うときの注意点

ゲンノショウコをはじめとした薬草は、正しく使えば日々のセルフケアに役立つ心強い存在です。
ただし、安心して取り入れるために、いくつか知っておいてほしいポイントがあります。

  • 薬草から得られる作用には個人差があるため、使用量は目安としてください。初めて使う場合は少量から始めると良いです。一度に多量の薬草を使うことは避けましょう。
  • 薬草は、日常的な健康維持やセルフケアに活用しましょう。はっきりとした病気の症状がある場合は、医師の診察を受けてください。
  • 薬との飲み合わせや体質・持病などにより、思いがけない症状が現れることがあります。体調の変化を感じたら、薬草の摂取をやめて医療機関を受診しましょう。

薬草についての基本的な考え方は、こちらの記事でまとめています。
薬草ってなに?ハーブや漢方薬・薬とどう違うの?薬剤師がやさしく解説します

ゲンノショウコについてまとめ

ゲンノショウコの使い方、効能についてまとめてみましょう。

  • 濃く煎じると下痢を、薄く煎じると便秘を改善する効果が期待できます。
  • 煎じ薬でうがいをすることで、口の中の炎症を抑える働きがあります。
  • 煎じ薬を布に含ませて湿布すると、皮膚の炎症が抑えられます。
  • 冷え性や生理不順、皮膚のトラブルには、ゲンノショウコの薬湯に入るのが効果的です。

葉の形がよく似ている、食べると有害な植物があります。間違えないよう、花が咲いているものを採取してください。

紹介したものの中から、これならできそうと思うものを生活に取り入れてみてくださいね。

ゲンノショウコを無理なく活用して、薬草のある生活を始めてみませんか?

参考にした資料・文献

■ 書籍

  • 『散歩で見つける薬草図鑑』(監修 指田 豊/家の光協会)
  • 『身近な薬草活用手帖 100種類の見分け方・採取法・利用法』(監修 寺林 進/誠文堂新光社)
  • 『自然治癒力をひきだす「野草と野菜」のクスリ箱』(東城 百合子 著/三笠書房)

■大学・学会・公的機関

■研究論文

民間利用・暮らしの情報

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