ハトムギの効能と使い方|美肌・滋養強壮作用で健やかに

ハトムギの茎と葉、茶色くなってきたハトムギの実 秋の薬草

「ハトムギ」といえば、はとむぎ茶やハトムギ配合の化粧水が有名ですね。
なんとなくお肌によさそう、というイメージはあるけれど、ハトムギがどんな薬草なのかは、意外と知らないという方も多いのではないでしょうか。

ハトムギは、いぼや肌荒れのケア、滋養強壮に役立つとして、昔から親しまれてきた身近な薬草です。民間薬として使われるだけでなく、漢方薬にも配合されます。
お茶として、お料理として、生薬として、いろいろな形で暮らしに取り入れられる、懐の深い薬草なんです。

私は薬剤師として働いていますが、薬草についてはまだ学び始めたばかりです。だからこそ、「難しそう」と感じる方の気持ちに寄り添いながら、一緒に少しずつ学んでいきたいと思っています。

この記事では、ハトムギの効能や使い方暮らしへの取り入れ方を、やさしくご紹介します。読み終わるころには、「これならできそう」と感じてもらえたらうれしいです🌿

身近な薬草について、一緒に学んでみませんか?

まず知っておきたい|ハトムギの主な使い方と効能

収穫したハトムギ|乾燥した実と茎葉

「ハトムギ」と「ヨクイニン」、何が違うの?

ハトムギはお肌や美容に良いとされ、昔からお茶として飲まれたり民間薬として利用されてきました。

ハトムギの生薬名は「薏苡仁(ヨクイニン)」と言いますが、ハトムギとヨクイニンの違いは何でしょうか?
ハトムギの種には、茶褐色の殻が付いています。この殻が付いたままのものを「ハトムギ」殻を取り除いた中身を生薬として使うときに「ヨクイニン(薏苡仁)」と呼びます。
同じ植物の実なので、呼び名は違っても期待される働きに大きな差はありません。

ハトムギ(ヨクイニン)の働き

ハトムギ(ヨクイニン)のいちばんの魅力は、お肌にうれしい働きがあることです。

私たちの肌は、新しい細胞が生まれて、古い角質を押し出すという生まれ変わりをくり返しており、この働きを「ターンオーバー(肌の新陳代謝)」と呼びます。このリズムが乱れると、古い角質がたまって、いぼや肌荒れの原因になるのです。ハトムギ(ヨクイニン)は、このターンオーバーを整えるのを助けてくれると考えられています。

いぼにはウイルスが原因でできるもの(子供や若い方にできやすいもの)と、年齢を重ねることによりできるものとがあります。ハトムギの効果が期待できるのは、ウイルスが原因のいぼです。
「いぼ」とひとくちに言っても、原因はさまざまなのですね。

ハトムギの効能と使い方

茶褐色の殻のついたハトムギの実

殻が付いたままのハトムギは、民間療法で使われます。

いちばん身近なのは、やはり「はとむぎ茶」です。香ばしくてほんのり甘く、飲みやすいので、美肌滋養強壮(体の調子を整えて、元気を補うこと)を願って、日々のお茶として飲まれてきました。
また、お茶を煮出したあとの出がらしを粉末にして、水で練っていぼに付けると、いぼが取れると言われています。

飲むことで身体の内側から整えるだけでなく、外側からの使い方もされてきたのですね。

ヨクイニンの効能と使い方

殻を取ったハトムギの白い実

ハトムギの実の殻を取り除いて乾燥させたものが「ヨクイニン」です。

生薬としてのヨクイニンには、ハトムギの美肌いぼ取り滋養強壮といった働きに加えて、鎮痛(痛みをやわらげる)・排膿(うみを出す)・利尿(余分な水分を出す)・消炎(炎症をしずめる)といった働きも期待されます。

ヨクイニンは、煎じ薬(水から煮出して、成分をじっくり引き出したもの)として飲むのが昔からの使い方です。また、単独で使われるだけでなく、ほかの生薬と組み合わせて漢方薬にも配合されます

ハトムギとヨクイニンの使い方と効能のまとめ

ここまで見てきたことを整理してみましょう。

ハトムギとヨクイニンは、同じ植物の実です。
殻が付いたままの「ハトムギ」は、はとむぎ茶として民間療法で親しまれ、殻を取って生薬にした「ヨクイニン」は、煎じ薬や漢方薬として使われてきました。どちらも、肌を美しく整える・滋養強壮といったうれしい働きを持っています。

用途効能
ハトムギ内用(ハトムギ茶)美肌、いぼ取り、滋養強壮
ハトムギ外用
(お茶の出がらしを粉末にしたもの)
いぼ取り
ヨクイニン内用(煎じ薬)美肌、いぼ取り、滋養強壮、鎮痛、排膿、利尿、消炎
ヨクイニン漢方薬に配合ほかの生薬と組み合わせて使われる

ハトムギ(ヨクイニン)は、内用・外用・漢方薬と幅広い使い方ができる薬草です。

市販品の種類も豊富で、はとむぎ茶や粉末はもちろん、化粧品や食品などもあります。
暮らしのいろいろな場面で取り入れやすいことも、この薬草の特徴ですね。

初心者におすすめ|ハトムギの使い方

ハトムギの収穫は、9月下旬から11月上旬ごろ。実に付いている殻が茶褐色に色づいたら、刈り取ります。
刈り取った実をそのまま乾燥したものが「ハトムギ」、実の殻を取り除いて乾燥したものが「ヨクイニン」です。しっかり乾燥させるために、数日間(2〜5日くらい)かけて天日干しにします。

ここからは、初心者にもおすすめのハトムギの活用方法について紹介していきます。

  • ハトムギ茶を作る
  • ヨクイニンで煎じ薬を作る
  • ハトムギを炊いて料理に活用する

    さらに記事の後半では、ドクダミと組み合わせた「ブレンド茶」もご紹介します。

すべてを試す必要はありません。「これならできそう」と思うものをひとつ、選んでみてくださいね。

ハトムギ(ヨクイニン)には、内用・外用それぞれにいろいろな市販品があります。手軽に始めたい場合は、市販されているものを使ってみるのがおすすめですよ。

ハトムギ茶を作る

まずは、ハトムギでお茶を作ってみましょう。
普段の生活に取り入れやすい使い方です。

◆用意するもの◆
乾燥したハトムギ 20g
水 1000mL
フライパン
鍋(ステンレスやほうろう、耐熱ガラス、土鍋など)
 ※薬草中の成分が鉄と反応して変化するため、鉄製の鍋は避けてください
茶こし

◆作り方◆
1.乾燥したハトムギをフライパンで炒って軽く焦がす。
2.鍋に1000mLの水を入れて沸騰させる。
3.炒ったハトムギ20gを加えて、弱火で30分ほど煮出す。
4.茶こしを用いて別の容器にこし取り、お茶がわりに飲む。

ハトムギ茶の出がらしを粉末にしたもの(または市販のハトムギ粉)に水を加えて練ったものをいぼに付けると、いぼが取れるといわれます。

【期待される効果】
美肌、いぼ取り、滋養強壮

ヨクイニンで煎じ薬を作る

水に薬草を加えて2/3から1/2の量になるまで煮詰めることを「煎じる」といい、煎じたものを「煎じ薬」と呼びます。

お茶よりもハトムギの成分が濃く抽出されます。
効能をしっかり活用したいときにオススメの取り入れ方です。

◆用意するもの◆
ハトムギ(乾燥して殻を取ったもの)1日量10〜30g
水 500〜600mL
フライパン
鍋(ステンレスやほうろう、耐熱ガラス、土瓶など)
 ※薬草中の成分が鉄と反応して変化するため、鉄製の鍋は避けてください
茶こし

◆作り方◆
1.乾燥して殻を取ったハトムギ(1日量10〜30g)をフライパンで混ぜながら炒る。
2.鍋に500〜600mLの水を入れて沸騰させる。
3.炒ったハトムギを加えて、水の量が半分になるまで中火で煎じる。
4.茶こしを用いて別の容器にこし取り、1日3回に分けて飲む。

煎じ薬をいぼに塗布してもよいです。

ハトムギは、多めに炒って保存しておくと便利です。炒ることで風味がよくなり、成分も抽出しやすくなって、保存性も高まります。
使うときに、その日のぶん(1日量10〜30g)を取り分けましょう。

【期待される効果】
美肌、いぼ取り、滋養強壮、鎮痛、排膿、利尿、消炎

ハトムギを炊いて料理に活用する

ハトムギは穀物なので、炊いて食べることができます。日々の食事に使うことで、栄養や効能を身体に取り入れられます。
いろいろな料理に活用できるので、工夫して使うのも楽しいですよ。

◆用意するもの◆
ハトムギ(乾燥して殻をとったもの) 1カップ
水 800mL
鍋(土鍋など)
 ※薬草中の成分が鉄と反応して変化するため、鉄製の鍋は避けてください

◆作り方◆
1.ハトムギ1カップ(乾燥して殻をとったもの)を水が透き通るまでよく洗う。
2.1をボウルに入れ、水を加えて2時間おいておく。
3.浸しておいた水を捨ててから、鍋にハトムギを入れる。
4.3に水800mLを加えて炊く。
  ポイント💡沸騰するまでは強火沸騰したら弱火にして30分ほど炊く。
        芯がなくなっていればできあがり。

小分けにして冷凍しておくと、さまざまな料理に使えて便利です。
白米に2〜3割混ぜるなど、いろいろな食べ方ができます。

ハトムギの炊き方

【期待される効果】
美肌、いぼ取り、滋養強壮

ハトムギとドクダミのブレンド茶を作る

ハトムギは、ドクダミと組み合わせて使われることもあります。

ドクダミには高血圧の予防によいとされる働きがあり、ハトムギとドクダミはどちらも利尿(余分な水分を出す)の働きを持っています。ブレンドすることでお互いの働きを補い合い、高血圧の予防利尿により役立つと言われています。

すでにご紹介したハトムギ茶と、ドクダミ茶を混ぜるだけでOKです。
ドクダミ茶の作り方は、ドクダミの記事で詳しく紹介していますよ。
ドクダミの効能と使い方|初心者にもわかる十の効能をもつ薬草の活用方法

◆用意するもの◆
ハトムギ茶(作り方は「ハトムギ茶を作る」でご紹介したとおり)
ドクダミ茶(作り方はドクダミの記事をご覧ください)

◆作り方◆
1.ハトムギ茶とドクダミ茶を、それぞれ作る。
2.ドクダミ茶2:ハトムギ茶1くらいの割合で混ぜて、お茶がわりに飲む。

まとめて一度に作りたいときは、生薬から一緒に煮出す方法もあります。
乾燥ドクダミ20〜30gとヨクイニン10gを一緒に煮出して、お茶がわりに飲みます。

【期待される効果】
高血圧予防、利尿

「ハトムギ」ってどんな薬草?

ハトムギは、インドや東南アジア原産の一年草です。名前は「ムギ」ですがイネ科の植物であり、栄養を豊富に含んだ穀物として知られています。
日本へは江戸時代に中国から伝わったとされ、薬用に栽培されるようになりました。

ハトムギがどんな植物なのか、特徴などを見ていきましょう。

ハトムギの緑色の細長い葉と、葉の付け根に付いたたくさんのハトムギの実
緑色の若いハトムギの花(穂)

ハトムギの名前の由来

「ハトムギ」という名前は、鳩(ハト)が好んでその実を食べるということから付けられたものだと言われています。かわいらしい名前ですね。

この呼び名が広まったのは明治以降であり、比較的新しい呼び名です。

ハトムギの生薬名:「薏苡仁(ヨクイニン)」

ハトムギの生薬名は「薏苡仁(ヨクイニン)」です。
「薏苡(ヨクイ)」はハトムギのこと、「仁(ニン)」は種の中身を指しています。つまり「ハトムギの種の中身」という意味です。

ヨクイニンの歴史はとても古く、中国に現存する最古の薬学書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」にも登場します。中国の歴史書『史記』にも記述が見られ、二千年以上も昔から、薬や食べものとして人々に親しまれてきました。

美容によいことでも知られていて、世界三大美女のひとりである楊貴妃(ようきひ)も愛用していたと伝えられています。

ハトムギの特徴

利用部位:果実(種子)
花期:7〜9月
分布:日本各地、アジア(中国・ベトナム・タイなど)で栽培
生育場所:原野や湿地に自生

ハトムギは、すらりと背の高い一年草です。夏から秋にかけて花を咲かせ、茶褐色のつやのある実を結びます。

ハトムギの特徴

茎:草丈は1〜1.5mほどで、頑丈でまっすぐ伸びる。
  根本からたくさん枝分かれする。

葉:ススキに似た細長い形で、幅は2.5cmくらい。
  根もとは茎を包む鞘のようになっている。

花と実:
  7〜9月ごろに葉の付け根から数個の穂を出し、小さな花をつける。
  実には殻がついている。楕円形でつやがあり、熟すと茶褐色に色づく。
  殻は、爪で押すと割れるくらいの硬さ。
  ※この殻が付いたままのものが「ハトムギ」
   殻を取り除いた中身が「ヨクイニン」として使われる。

ハトムギとよく似た植物「ジュズダマ」

ハトムギには、よく似た「ジュズダマ」という植物があります。数珠や装飾品に使われてきたことから、ジュズダマという名前がついたといわれています。
ハトムギはジュズダマの変種であり、実や葉の形がそっくりです。見た目で判断するのは難しいですが、いくつか見分けるためのポイントがあります。

  • ハトムギの実は、爪で押すと割れるくらいのやわらかさ。ジュズダマの実は、とても硬くて、爪では割れない。
  • ハトムギの実は下向きに、ジュズダマの実は上向きにつく。
  • ハトムギは一年草、ジュズダマは多年草。

ハトムギを食事に活用

ハトムギは栄養価の高い穀物としても知られています。
殻を取ったハトムギを、お米に少し混ぜて炊いたりスープに入れるといった食べ方が一般的です。粉末になっているハトムギ粉を使う場合は、小麦粉やお好み焼き粉などの粉に混ぜて使うのも良いです。

食事に使うことで、ハトムギの栄養を身体に取り入れることができますよ。

⚠️妊娠中の摂取について

ハトムギ(ヨクイニン)は、昔から「妊娠中は控えたほうがよい」と言われてきました。子宮を収縮させる作用があるとされてきたためです。
ただ、近年では「これはハトムギそのものではなく、ハトムギに発生したカビ(麦角菌)が関係していたのでは」という見方も出てきていて、適量であれば過度に心配しなくてよいと考えられています。

整理すると、こんなふうに分けて考えると安心です。

  • 市販のハトムギ茶を、ふだんの飲み物として楽しむ程度なら、神経質になる必要はないとされています。
  • 一方で、ヨクイニンの煎じ薬や、ヨクイニン製剤(錠剤など)のように、ぎゅっと濃く摂る使い方は、妊娠中は自己判断で行わず、必ずかかりつけの医師に相談してください。
  • 心配な気持ちが残るときは、無理に飲む必要はありません。ハトムギの入っていないお茶を選ぶのもひとつの方法です。

ハトムギや他の薬草を使うときの注意点

ハトムギをはじめとした薬草は、正しく使えば日々のセルフケアに役立つ心強い存在です。
ただし、安心して取り入れるために、いくつか知っておいてほしいポイントがあります。

  • 薬草から得られる作用には個人差があるため、使用量は目安としてください。初めて使う場合は少量から始めると良いです。一度に多量の薬草を使うことは避けましょう。
  • 薬草は、日常的な健康維持やセルフケアに活用しましょう。はっきりとした病気の症状がある場合は、医師の診察を受けてください。
  • 薬との飲み合わせや体質・持病などにより、思いがけない症状が現れることがあります。体調の変化を感じたら、薬草の摂取をやめて医療機関を受診しましょう。

薬草についての基本的な考え方は、こちらの記事でまとめています。
薬草ってなに?ハーブや漢方薬・薬とどう違うの?薬剤師がやさしく解説します

ハトムギについてまとめ

ハトムギ(ヨクイニン)の使い方、効能についてまとめてみましょう。

  • ハトムギとヨクイニンは同じ植物の種。殻が付いたままが「ハトムギ」殻を取った中身が「ヨクイニン」
  • どちらも、お肌のターンオーバーを整えて、いぼや肌荒れをケアする働きが期待される。美肌や滋養強壮の働きで親しまれてきた。
  • 生薬のヨクイニンには、さらに鎮痛・排膿・利尿・消炎といった働きも期待される。
  • ハトムギは、はとむぎ茶のほか、殻をむいたものを炊くなどして料理にも活用できる。ヨクイニンは煎じ薬漢方薬で使われてきた。市販品も豊富なので、気軽に取り入れやすい。
  • ドクダミと組み合わせた「ブレンド茶」は、高血圧の予防や利尿の働きが期待できる。

妊娠中は、ふだんのはとむぎ茶を楽しむ程度なら心配いりませんが、煎じ薬やヨクイニン製剤などで濃く摂る使い方は、医師に相談してくださいね。

お肌にうれしい働きが期待できるのが、ハトムギの大きな魅力です。「これならできそう」と思うものから、気軽に試してみてくださいね。

季節の薬草とともに過ごす時間を、楽しんでみませんか?🌿

参考にした資料・文献

■書籍

  • 『散歩で見つける薬草図鑑』(監修 指田 豊/家の光協会)
  • 『身近な薬草活用手帖 100種類の見分け方・採取法・利用法』(監修 寺林 進/誠文堂新光社)
  • 『自然治癒力をひきだす「野草と野菜」のクスリ箱』(東城 百合子 著/三笠書房)

■大学・学会・公的機関

■研究論文

■民間利用・暮らしの情報

コメント

タイトルとURLをコピーしました